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神戸地方裁判所 昭和56年(わ)1381号 判決

本籍

姫路市船津町三六九三番地

住居

右同

会社役員

玉野勇

大正七年三月二七日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官東巖出席のうえ審理して次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年二月及び罰金一、二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から、三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、兵庫県姫路市船津町三六九三番地において籾殻の集荷、販売及び紡績業等を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て

第一  昭和五三年分の実際の総所得金額が四四、九二九、七五一円で、これに対する所得税額が二〇、七二四、一〇〇円であるのにかかわらず、架空の外注費を計上し、これによって得た資金を簿外の割引債券の購入資金に充てるなどの行為により、右所得の一部を秘匿した上、同五四年三月一五日、同市北条字中道二五〇番地所在の姫路税務署において、同税務署長に対し、同五三年分の総所得金額が、四、八三二、六五一円で、これに対する所得税額が七〇七、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の所得税二〇、〇一六、九〇〇円を免れ

第二  昭和五四年分の実際の総所得金額が四九、四〇六、九一四円で、これに対する所得税額が二三、六一五、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同五五年三月一五日、前記姫路税務署において、同税務署長に対し、同五四年分の総所得金額が六、六四〇、六七七円で、これに対する所得税額が一、一六四、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の所得税二二、四五一、七〇〇円を免れ

第三  昭和五五年分の実際の総所得金額が五八、五五四、三八二円で、これに対する所得税額が二九、五六六、二〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同五六年三月一六日、前姫路税務署において、同税務署長に対し、同五五年分の総所得金額が五、六八八、九二二円で、これに対する所得税額が八九九、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の所得税二八、六六七、一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実

一  被告人の当公判廷における供述ならびに大蔵事務官に対する質問てん末書及び検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の各調査書

一  法務事務官作成の登記簿謄本

一  玉野道子、玉野邦博の大蔵事務官に対する質問てん末書及び検察官に対する各供述調書ならびに各確認書

一  玉野満代、甘中加代子、青田明美、時光孝夫、金太洪、貝野法子、内藤嘉信、高原茂、井上幸彦、大森健造、小林真弥の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  山下幸子、永井常四郎、堀豊作成の各確認書

判示第一事実

一  大蔵事務官作成の昭和五六年一一月一八日付、同年一二月七日付各証明書

一  大蔵事務官作成の昭和五三年一二月三一日付、同五六年一一月一一日各計算書

判示第二事実

一  大蔵事務官作成の昭和五六年一一月一八日付証明書

一  大蔵事務官作成の昭和五四年一三月三一日付、同五六年一一月一一日付各計算書

判示第三事実

一  大蔵事務官作成の昭和五六年一一月一八日付証明書

一  大蔵事務官作成の昭和五五年一二月三一日付、同五六年一一月一一日付各計算書

(法令の適用)

判示第一乃至第三の所為につき

昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一項(懲役刑と罰金刑併科)刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項、一八条、二五条一項(懲役刑についてのみ)

(裁判官 高橋通延)

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